主催: 京都大学大学院医学研究科 内科学講座 臨床免疫学
目的 : ANGIOPOIETIN-1(Angi-1)はTIE2受容体を介して、血管平滑筋の増殖を誘導する因子である。近年、Angi-1がRAにおける血管の増殖や、肺高血圧症における肺血管の平滑筋の増殖にも関連することが推測されている。そこで、本研究では、血清中のAngi-1を測定し、膠原病におけるAngi-1の意義を検討した。対象及び方法:血清Angi-1を monoclonal 抗ヒトAngi-1抗体及びpolyclonalヒツジ抗ヒトAngi-1抗体 (R&D Systems)を用いたsandwitch ELISAにて測定した。対象は、30人の健常人、 24例のSSc, 20例のPM-DM, 42例のSLE、25例のMCTD, 26例の膠原病に伴う肺動脈性肺高血圧症(PAH), 28例のRAを用いた。 結果: 健常人の血清Angi-1は 0.12 ± 0.35 pg/mlで、健常人平均+3SD (1.18 pg/ml)以上を上昇と判定した. Angi-1の陽性率は、SSc 3/24, PM-DM 1/20, SLE 4/42, MCTD 5/25, RA 10/28, 膠原病PAHでは8/26例であった。RAおよびPAHを伴う膠原病での上昇率が高かった。 結語:Angi-1は、RAやPAHの一部で血清angi-1の上昇がみられ、血管病変との関連が示唆された。