主催: 京都大学大学院医学研究科 内科学講座 臨床免疫学
<目的>SS患者T細胞の機能とBAFFの関与を他のサイトカインとの関係も含めて検討するため、患者末梢T細胞を用いて検討を行った。<方法>SS患者、健常人の末梢血リンパ球よりCD3陽性T細胞を精製分離した。これらを抗CD3抗体により刺激培養し、培養上清中のBAFF 、IFN-γをELISA法にて測定した。また、RT-PCR法にて遺伝子発現を検討した。さらに、この培養系にcyclosporin A、SP600125、SB203580などの薬剤やrIFN-γを添加し、BAFF発現、産生における影響を検討した。<結果・考察>抗CD3抗体で刺激培養したSS患者末梢T細胞からのBAFF、IFN-γの産生は、健常人と比較して有意に増加した。遺伝子発現も同様の結果を示した。rIFN-γを患者末梢T細胞に加え培養した場合、BAFFの発現、産生誘導が認められた。また、患者末梢T細胞をcyclosporin A、JNK阻害剤であるSP600125、MAPkinase阻害剤であるSB203580存在下でそれぞれで抗CD3抗体による刺激培養したところ、それぞれ約70%、約40%、約30%のBAFF産生が阻害された。これらの結果よりT細胞におけるBAFF発現、産生機構にはIFN-γが関与する経路、calcineurin/NFATを介した経路、MAPkinaseを介した経路などが関与する可能性が示唆された。