関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O3-3 10W 半導体レーザーによるconditioned pain modulation 効果の検証
竹内 伸行松本 昌尚
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p. 23-

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抄録

【目的】疼痛部位と異なる部位の刺激で疼痛が抑制される現象はconditioned pain modulation(CPM)と呼ばれる。

CPM は"痛みで痛みを抑制する"と表現されるように、その刺激は主に侵害刺激が有用であるとされてきた。しかし本邦において非侵害刺激によるCPM 効果が報告された(大野ら,2017)。一方、筆者らは10W 半導体レーザーによる疼痛緩和を検証しその有用性を報告してきたがCPM 効果は未検討であり、関連する報告も見当たらない状況であった。本研究は10W 半導体レーザーによるCPM 効果を検証することを目的とした。

【方法】健常成人10 人の前腕掌側を対象とし、全員にレーザーを照射する照射群とダミー照射する対照群に参加してもらった。両群への参加順序は無作為とし、一週間以上の間隔をあけて実施した。対象にはどちらの群に参加しているか伝えなかった。左右どちらの前腕に照射(計測)するのかは無作為に決定し、各対象における照射群と対照群は左右を逆にして実施した。圧痛計にて圧痛閾値、知覚痛覚定量分析装置にて電流痛覚閾値と電流知覚閾値を計測した後、対側同部位に10W 半導体レーザーを照射し、その後、同様の計測を行なった。各指標は照射前後の値を対応のあるt 検定で解析し群内比較した(有意水準5%)。

【倫理的配慮】全対象に書面にて同意を得て実施した。本研究は本庄総合病院倫理委員会の承認を得て実施した。

【結果】照射群、対照群共に、圧痛閾値、電流痛覚閾値、電流知覚閾値の全項目で照射前後の有意な変化を認めなかった。

【考察】非侵害性の温刺激および冷温同時刺激によりCPM 効果を認めたとの報告(大野ら,2017)がある。本研究で用いたレーザー光は非侵害刺激といえるが、今回の照射条件ではCPM 効果を認めなかった。非侵害刺激のCPM 効果に関しては曖昧な部分も多く、レーザーを用いた更なる検証も必要と考えられた。

【結論】本研究の条件ではレーザー照射によるCPM 効果は得られないと示唆された。

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