関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: O-020
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口述
退院時歩行自立の脳卒中患者における回復期病院退院後の転倒の有無とその背景の調査
山崎 紳也今井 千晶永井 功一
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抄録

【目的】回復期病院退院後の生活アンケート調査の結果から脳卒中片麻痺症例の退院後生活における転倒の有無について背景を調査した。

【対象】2016年5月退院者よりアンケート送付した(自宅退院者へ3か月後)脳血管疾患患者341人において、2019 年3月末までに記名での返答があった退院時歩行自立患者61人のうち、入院中情報を確認できた53人を解析対象とした。

【方法】退院後3か月間の転倒の有無から転倒群18人、非転倒群35人に群分けした。入院中情報より性別、年齢、退院時のFIM認知項目(以下FIMC)、下肢Brunnstrom recovery stage(以下Brs)、下肢感覚障害・下肢装具の有無、FBS、歩行速度、アンケートへ結果から、住宅改修・介護保険サービス利用の有無・家庭内役割個数を2 群間で比較した。統計解析にはX2検定、t検定、正規性がない項目にMann−WhitneyU検定を実施。統計ソフトEZRを使用し、危険率5%とした。なお、入院時にアンケートについて、研究使用の同意を得ており、本研究は当院の倫理委員会の承認を得ている。

【結果】性別において、男性44人、女性9人とアンケート返信に偏りがあったが、群間での有意差は認めなかった。 年齢は転倒群65.4±12.3、非転倒群65.6±17.7、FIMCはそれぞれ28.0、28.5、また感覚障害・下肢装具の有無において有意差を認めなかった。Brsはそれぞれ4.0と5.25 (p<.05)、FBSは31.2と53.0点(p<.001)、歩行速度は47.6 と67.5m/分(p<.05)と有意に転倒群が低かった。住宅改修、介護保険サービス利用の有無、家庭内役割個数に有意差は認めなかった。

【考察】性別の偏りは、アンケート回答者が配偶者である場合が多く、女性の返答率が高い結果と考えられる。 2群間で有意差を認めた項目は身体機能、歩行、バランス能力であり、障害の程度が転倒おける主な要因であった。病棟歩行が自立してもバランス、速度が低い場合、さらに転倒に留意した介入が求められる。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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