理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P3-16
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Tapping動作における内的リズム反応
-mechanogram及びEMG及びEEGからの検討-
鈴木 慧二村口 良介濱 敬介
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抄録

【はじめに、目的】 パーキンソン病でのすくみ足に対し,Rhythmic Stimulation(以下RS)を用いたExternal Cue(以下EC)が制御に有効である報告は多い.一方,ECの効果は短期的に有効だが,持続効果が低い等の課題もある.また,原因に大脳基底核回路の障害による,内的リズム形成障害が報告され,メカニズムに内的情報に基づいてECを抑制的に修飾し,随意運動を制御する役割が示唆されている.以上から,ECによるRSでのTappingモデルに,mechanogram及びEMG及びEEGの解析により,生体内リズム形成の一端を検討を目的とした.

【方法】 被験者は,健常成人10名(男性6名,女性4名,平均22.5歳±3.7),右手にて大腿部に対しTapping(body-tap条件),体に接触しないtableに対しTapping(table-tap条件)の2条件を設定,時間は2分間,前半1分間はモニター提示されたRSに同期するEC区間,後半1分間をRS無しでTapping保持する内的リズム区間と設定,RS頻度は0.5,1,2,5Hzの4条件とした.

 統計処理は,2群間の検定をt検定,二元配置分散分析を行い,多重比較検定をDunn検定で実施,有意水準は5%とした.

【結果】 Mechanogramの結果,1Hz‐body:ECに対しtable:ICが有意に減少(q=4.409,P<.05),2Hz‐body:ECに対しtable:ICが有意に減少(q=3.919,p<.05).伸筋EMGの結果,0.5Hzのbody-ICに対し,table-ECが優位に減少(q=4.409,P<.01),table-ICに対し有意に減少(q=3.919,p<.05).1Hzでは,body-ICに対し,table-EC(q=3.919,p<.05),table-IC(q=3.674,P<.05)が有意に減少した.屈筋EMGの結果,1Hzではbody-ICに対し,table-ECが有意に減少(q=3.919,p<.05),2Hzではbody-ECに対し,table-IC(q=4.164,p<.05)が有意に減少.EEGの結果,脳波帯域成分間の比較で,bodyは2Hz,頭頂部でのθ波に対しα波の優位な右脳シフトを示し(S=3.1934,P<.05).tableは,0.5Hz及び1Hz,後頭野での,δ波に対しβ波の優位な左脳シフト(S=2.9972,P<.05),(S=2.9993,P<.05)を示した.

【考察】 Mechanogramの結果,1,2Hzでは,連続的ET-Cueに対し,負の非同期が出現,提示された刺激間の過小評価となる報告と一致,更に,RS無しでの快適なテンポでは120BPMに近づく報告があり,2Hzの結果はその影響と考えられる.EMGの結果,0.5,1HzのEMGでは,1000msec秒以上のRSに対し,上位中枢の影響が報告されており,2Hzでは,50%以下での身体活動量と筋活動量は無関係との報告から,Mechanogram結果とEMG結果は一致,運動制御の効率化が考えられる.EEGの結果,β波は,δ帯域の活動を減少させ,小脳脚へ電気刺激が発生する報告,α波の減少,β波増加のα-blocking現象,またTapping時の感覚刺激増強が長距離同調を発生,頭頂葉部と後頭葉部が感覚と運動の統合の促進と考えられる.

【結論】 各条件におけるRSによるECから,内的リズム形成を検討し,0.5,1,2HzTappingでの課題遂行中に内的リズム形成の転換が示唆された.しかしながら,1及び2Hzにおいては,一般的な運動制御に基づく先行研究と一致することから,今後の臨床への課題として0,5HzでのTapping課題が示唆された.

【倫理的配慮,説明と同意】本研究は、ヘルシンキ宣言に従い、全ての被験者に対し,事前に実験の趣旨及び内容を説明し,同意を得た上で実施した.

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© 2019 日本理学療法士協会
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