理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 541
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理学療法基礎系
家庭用ビデオカメラを用いたトレッドミル歩行分析の検査者間再現性について
*山崎 卓也江口 雅之原田 康隆長谷川 隆史後藤 純子杉山 統哉鈴木 康雄
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抄録

【目的】動作解析を行う際,高価な機器や計測環境が必要となり,臨床の場面で容易に行うことは困難である.今回我々は,家庭用ビデオカメラと無料ソフトウェア,トレッドミルを用いて当院理学療法室で安価に簡便に動作解析を行う方法の検査者間再現性について検討した.

【方法】対象は健常男性6名(平均年齢27.0±5.2歳,身長169.8±6.4cm)とし,検査者は色覚に異常のない当院理学療法士5名とした.本研究の趣旨を説明の上,同意を得た.家庭用ビデオカメラ(Panasonic社製NV-GS150)をトレッドミル側方から5m離し,床面から0.8mの高さに設置した.被験者は白色の伸縮性のズボンと靴をはき,右大転子部,膝関節,外果,第5中足骨頭に半径1.5cmの黒色マーカー用シールを貼った.立脚期の確認のためフットスイッチを使用し,上肢は前方で腕を組み,トレッドミル上を時速4kmで歩行した.歩行が安定した後,5歩行周期分の歩行データを測定した.撮影した動画をArea61(URL:http://www.area61.net)を用いてAVIファイル形式にてパソコンへ取り込み,AVI2JPG(URL:http://www.novolizatiion.hp.infoseek.co.jp/indexj.html)を使用し,静止画ファイルへ分割した.このとき動画ファイルより1歩行周期の範囲を選択し,サンプリング周波数30Hzにて静止画ファイルへ分割しJPG形式で保存した.踵接地,足底接地,足趾離地,遊脚中期時の静止画ファイルを選択し,画像解析ソフトImageJ(URL:http://www.bioarts.co.jp/~ijjp/ij)に取り込み,測定点のデジタイズ処理を5人の検査者に行わせた.この際マーカーを最大限に拡大し,最も黒い場所を測定点として選択させた.なお検査者はお互いの処理操作をみることができなかった.得られたデータを表計算ソフトに読み込み平均膝関節角度,足関節角度計算を行った.角度は静止立位時の角度をゼロとして計算した.各関節角度より級内相関係数(以下,ICCと略す.)を求め,有意水準5%とした.予備実験として2人の検査者に5点のデジタイズ処理を1日に1度ずつ2日間行わせ、測定点の値が同一であることを確認した。

【結果】検査者間のICC(2,1)の一例を示す.膝関節では踵接地時0.964(下限値0.886,上限値0.994),足関節では0.978(下限値0.914,上限値0.970)であり,他も同様に高い再現性が得られた.

【考察】現在臨床では視覚による動作解析が主に行われており,安価で簡便な動作解析法が望まれている.今回の動作解析では比較的安価で簡便な装置を使用し,高い検査者間再現性を得ることができ,今後臨床応用が期待される.

【まとめ】

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© 2007 日本理学療法士協会
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