特集にあたって:眼を酷使する時代である.若年性の「近視」の原因は,勉強からスマートフォンに移ったかもしれない.青年は「ドライアイ」,中壮年は「老眼」「緑内障」,高齢者では「加齢黄斑変性」「白内障」と,いろいろな眼の病気が各世代で幅広く存在し,その障害はヒトとしてのQOLに切実にかかわってくる.目薬をささない日はもはやないといっても過言ではないであろう.目は心の窓ともいわれる.その目を曇らせないためにも,眼病を知り目薬を知ることは意義深いと考え,本特集号を企画した.「眼の病気,目のくすり」.「眼」と「目」の違いにも思いをはせつつ読み進めていただければ,きっと何かが見えてくることであろう.
表紙の説明:構造物としての眼は,大変精密である.その精密度は,光の入り口である前部と,投影部位である後部で際立つ.眼は脳と直結しているため,感情の表現者としての「目」の機能も有する.表紙の眼の構造図は,本文中の209頁と223頁の図を改変して用いた.また,中田氏の項では「正しい目薬のさし方」にも言及している.両手で丁寧に,目に感謝しつつ目薬をさそう.