ファルマシア
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サリドマイド誘導体レナリドミドの抗腫瘍効果はどのように発現するか
小林 直木
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2014 年 50 巻 11 号 p. 1145

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抄録

サリドマイドは1960年前後,不眠症やつわりの治療に使われたが,催奇形性のあることが判明し,1962年にいったんは販売中止となった薬剤である.しかしその後,多発性骨髄腫への有効性が明らかとなり,2008年に再発または難治性の多発性骨髄腫治療薬として再認可された.サリドマイド誘導体のレナリドミドは,2010年に承認された多発性骨髄腫治療薬であり,サリドマイドと同様に催奇形性を有するが,デキサメタゾンとの併用療法において高い有効性が示されている.多発性骨髄腫は,B細胞の最終分化段階である形質細胞の腫瘍であり,サリドマイドやレナリドミドは,多発性骨髄腫の増殖を抑制する作用を持つが,さらに,インターロイキン2(IL-2)依存性のT細胞の増殖促進,炎症性サイトカインの腫瘍壊死因子-α(TNF-α)産生抑制,血管新生阻害など多面的な作用を持つことが知られている.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Ito T. et al., Science, 327, 1345-1350 (2010).
2) Kronke J. et al., Science, 343, 301-305 (2014).
3) Lu G. et al., Science, 343, 305-309 (2014).

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© 2014 The Pharmaceutical Society of Japan
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