日本繁殖生物学会 講演要旨集
第112回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-129
会議情報

ポスター発表
乳牛におけるヨード剤子宮内投与後の子宮洗浄回収液中13,14-dihydro-15-keto-Prostaglandin F濃度の変化
*安藤 湧希遠藤 なつ美清水 秀茂田中 知己
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】黄体期の牛の子宮内にヨード剤などの刺激性溶液を注入すると炎症が誘発され,子宮内膜からProstaglandin F(PGF)が放出されることが知られている。しかし,ヨード剤投与後の子宮内局所においてPGFやその代謝産物である13,14-dihydro-15-keto-Prostaglandin F(PGFM)を検出したという報告は少ない。本研究ではヨード剤投与後の子宮洗浄回収液について臨床細胞学的検査およびPGFMの検出を行った。【方法】ホルスタイン種乳牛(n=18)を用いた。黄体期に子宮体に挿入したシース管を介してヨード剤(2%ポピドンヨード)50 mlを1回子宮内投与し(処置群,n=10),対照群は無処置とした。両群において処置後翌日に黄体が存在する側の子宮角に留置したバルーンカテーテルを介して生理食塩液50 mlを1回注入し,洗浄液を回収した。回収液を遠心分離し,細胞成分を塗抹・染色後,顕微鏡下で観察される細胞中の多形核白血球の割合(PMN%)を算出した。また,子宮洗浄回収液中のPGFM濃度をEIA法により測定した。【結果】処置後翌日における子宮洗浄回収液中PMN%は処置群および対照群でそれぞれ55.4±31.8%および8.86±23.4%であり,処置群において有意に高かった。PGFM濃度はすべての群において個体差が大きく,処置群および対照群でそれぞれ1409.2±1551.7 pg/mlおよび1574.2±1165.8 pg/mlであり,両群で有意差はなかった。また,処置群において分娩後日数の違いにより分娩後30~100日と400日以上の群に区分して分析したところ,PGFM濃度はそれぞれ1206.5±1504.4 pg/ml(n=7)および1882.2±1541.9 pg/ml(n=3)であり,両群で有意差はなかった。【まとめ】ヨード剤子宮内投与は投与翌日において子宮内に炎症性変化を誘発したが,子宮洗浄回収液中のPGFM濃度についてはヨード剤投与による影響は認められなかった。

著者関連情報
© 2019 日本繁殖生物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top