日本繁殖生物学会 講演要旨集
第112回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-7
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性周期・妊娠
妊娠ホルスタイン種の生乳白血球におけるインターフェロン誘導性遺伝子群の発現動態
*渋谷 奏絵小林 優小松 夏美杉村 智史
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抄録

近年,簡便かつ確実に妊娠診断可能な技術の開発が望まれており,特に日常業務で採取可能な生乳を用いた妊娠診断技術が期待されている。ウシ胚の栄養外胚葉から分泌される妊娠認識物質であるインターフェロンタウ(IFN-τ)は末梢血白血球のインターフェロン誘導性遺伝子群(ISGs)の発現を増加させるが知られている。一方,生乳白血球における妊娠依存的なISGsの発現動態は詳細になっていない。本研究では,妊娠および非妊娠牛の生乳白血球におけるISGs(ISG15, MX1, MX2, OAS1)の発現動態,および末梢血白血球のISGs発現動態との関係性を解析した。【方法】妊娠区,非妊娠区それぞれ4頭のホルスタインイン種を供試した。人工授精(AI)日を0日目とし,1,8,15,22,29日目に末梢血および生乳を採取した。遠心分離により末梢血および生乳から白血球をそれぞれ単離し,リアルタイムPCRによるISGs発現解析に供した。妊娠・非妊娠はAI後40日の超音波診断により判定した。【結果】末梢血の妊娠区において,15から22日目にかけて全てのISGsにおいて発現が増加傾向にあった。一方,生乳の妊娠区においては,各ステージで全てのISGsの発現は観察されたものの,15から22日目にかけての発現増加は全てのISGsにおいて認められなかった。非妊娠区においては末梢血および生乳ともに1から29日目においてISGsの発現はほぼ一定であった。末梢血および生乳間において白血球のISGs発現の相関は認められなかった。以上,ホルスタイン種の生乳白血球におけるIGSs発現は妊娠認識時の胚由来IFN-τの作用を反映しない可能性が示された。

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© 2019 日本繁殖生物学会
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