日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-68
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精巣・精子
FGF2とPOU1F1の一塩基多型が雄牛の交配成績に及ぼす影響
*渡辺 伸也武田 久美子赤木 悟史原口 清輝平尾 雄二内山 京子絹川 将史金田 正弘小林 栄治
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抄録

【目的】FGF2 (Fibroblast growth factor 2)とPOU1F1 (Pituitary-specific positive transcription factor 1)は,牛の体外受精成績に影響を及ぼす一塩基多型(SNP)の存在が報告されている遺伝子である。本研究では,これらの遺伝子を取り上げ,そのSNPの遺伝子型が雄牛の交配成績に及ぼす影響を検討した。【方法】調整交配に用いた雄牛(黒毛和種:28頭,ホルスタイン種:35頭)の血液よりゲノミックDNAを調製した。FGF2については,Csp6I を(g.11646A>G ,Wang et al., 2008),また,POU1F1については,StuI を(c.577C>A,Huang et al., 2008),それぞれ用いたPCR-RFLP法でSNPの遺伝子型を判定した。調整交配の受胎率を雄牛の交配成績とした。【結果】雄牛の交配成績は,品種により有意に異なっていた(P<0.01)。FGF2のSNPにおいて, AA型,AG型およびGG型の遺伝子型を有する雄牛の交配成績(平均±標準偏差)は,黒毛和種で,それぞれ,74.3%(n=2),59.2±5.1%(n=7) および 57.5±10.4%(n=19),ホルスタイン種で,それぞれ,38.7±5.2%(n=18), 38.9±4.6%(n=12) および42.8±3.8%(n=5)であった。一方,POU1F1の SNPにおいて, CC型,CA型およびAA型を有する雄牛の交配成績は,黒毛和種で,それぞれ,61.9%(n=1),59.3±6.4%(n=3)および58.9±10.5%(n=24),ホルスタイン種で,それぞれ,40.4%(n=1) ,40.2±6.0%(n=9) および39.0±4.7%(n=25)であった。n=3以下を除き,品種ごとにそれぞれ分散分析した結果,いずれの遺伝子のSNPにおいても今回調査した雄牛では交配成績に有意な影響は検出できなかった。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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