日本農村医学会学術総会抄録集
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第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: W4-3
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肝臓ダイナミックCTにおける造影効果
~投与ヨード量の検討~
磯貝 征寛松原 利幸本多 正樹堀尾 亮介高橋 佳嗣井澤 晋也藤田 恭明宮良 幸子
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抄録

H.C.C(肝細胞癌)描出を目的とした肝臓ダイナミックCTにおける至適投与ヨード量については様々な議論がなされており、概ね500~600mgI/kgが推奨される結論に至っている。当院では450mgI/kgで検査を行なっており、投与ヨード量を増加させることでより良い診断画像が得られるか検討した。
当院では64列MSCTを使用しており、肝臓ダイナミックCTでは後期動脈相、肝実質相、平衡相の3相撮影を基本としている。
肝臓ダイナミックCTを施工した36例を対象とし、そのうち12例ずつを450mgI/kg,540mgI/kg,630mgI/kgに設定した。各症例の時相ごとに大動脈,肝内門脈,肝実質の造影効果によるCT値の変化量を計測した。また、診断能の良悪について視覚評価を行い、4名の内科医師による4段階のスコア評価を行った。
大動脈と肝内門脈の濃染強度は投与ヨード量に比例して高くなり、630mgI/kgでは450mgI/kgの約120%の造影効果となった。肝実質の濃染強度は肝実質相でのみ投与ヨード量に比例し、630mgI/kgでは450mgI/kgの約130%の造影効果となり、動脈相および平衡相では投与ヨード量による差が少なかった。
一方、視覚評価は動脈相および肝実質相では540mgI/kgで最も評価が高く、450mgI/kgで最も評価が低くなった。平衡相では540mgI/kgで最も評価が高く、630mgI/kgで最も評価が低くなった。平衡相で630mgI/kgの視覚評価が低くなった理由は、高容量になるほどH.C.Cのような動脈優位で造影される病変のWASH OUTが不十分になる可能性が考えられた。
造影効果は投与ヨード量が多いほど高くなるが、視覚評価を考慮すると450mgI/kgから540mgI/kgに変更することでより良い診断画像が得られると考えられた。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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