日本農村医学会学術総会抄録集
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第56回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1B04
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一般演題
旭川厚生病院における退院支援の実績とシステム
小玉 かおり西 悦子小西 智子坂本 瑠美子木下 千尋須田 明子
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キーワード: 退院支援, 実績, システム
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抄録

<はじめに> 当院では退院後の療養生活が困難になると予測されるケースのコーディネート機能として、H16年 7月から退院支援を行っている。これは地域医療連携室と外来保健指導室保健師、医療相談室MSWで構成された退院支援チームが院内外との調整を図りながら進めているものである。今回、H18年度の退院支援実績と共に、当院の退院支援システムについてここに報告する。 <H18年度実績> 退院支援件数は139件で前年度比41.8 %の増加だった。平均年齢は75.5歳、年齢構成は「75歳以上」が最も多く82件(59.0%)だが、「40歳以上64歳以下」も28件(20.1%)あった。主疾患別では「がん」が最も多く59件(42.4%)だった。転帰別では、「自宅」が最も多く63件(45.3%)、転院は39件(28.1%)だった。一方で、状態悪化により退院支援を中止又は死亡したケースが23件(16.5%)あった。居住地は、「旭川市内」が98件(70.5%)、上川管内20件(14.4%)、その他の地域が21件(15.1%)で、北海道北部の広域支援につながっていた。ADL別で最も多かったのは「車椅子」60件(43.2%)、「自立」は最も少なく13件(9.4%)だった。意識状態別では「認知症」が35件(25.2%)を占めた。介護保険の新規申請あるいは区分変更が必要だったのは87件(62.6%)で、内訳は「新規申請」が70件(80.5%)、「区分変更」が17件(19.5%)だった。また「新規申請」の全件に居宅介護支援事業者選定の支援を行なっており、ケアマネージャーとの具体的な連携を可能にした。新規で訪問看護を開始したのは34件(24.5%)だった。 <システム> 【退院支援チーム】それぞれの業務と兼務で退院支援活動にあたっている。 【依頼窓口】MSWに一本化している。MSWが基本情報を収集し、毎朝のチームミーティングでメンバーに下ろし担当者を決めている。医療処置があったり状態が不安定だったりするケースは保健師が担当している。 【退院支援担当者】病棟看護師と共同で面談やカンファレンスを行いながら進めている。患者・家族同席のもと、ケアマネージャーやサービス事業者とカンファレンスを開催したり、最近は在宅療養支援診療所との共同カンファレンスを開催したりするケースも出てきた。 【記録・連絡】病棟窓口はチームリーダーであるが、数日で交代があるため入院カルテ(日々の看護記録用紙の次頁)に記録用紙をはさみ経過記録をしている。又、担当者の院内PHSを使用し随時連絡が取れるようにしており、院外関係者からの連絡もスムーズに行なえている。退院前に退院支援連絡用紙を作成し、関係機関へ早目に情報提供をしている。 【チーム活動】チームミーティングでは、各ケースの報告や意見交換の他、院内の問題点への対策などを話し合っている。その他、退院支援の周知活動や地域連携を視野に入れた療養生活サポート活動などを行っている。 <まとめ> 退院支援を進める中で、病棟看護師と共同で進めることにより入院早期から在宅復帰を目指した看護展開につながり、支援内容がより充実したものになると感じた。現在では病棟と退院支援担当者の役割について相互理解が深まり、効率よい支援が出来るようになってきている。 表1 40未満 40~64 65~74 75以上 合計 0 28 29 82 139 0.0% 20.1% 20.9% 59.0% 100% 表2 がん 骨折 COPD 消化管 DM その他 合計 59 17 11 6 4 42 139 41.3% 12.2% 7.9% 4.3% 2.9% 30.2% 100% 表3 自宅 転院 施設 死亡等 合計 63 39 14 23 139 45.3% 28.1% 10.1% 16.5% 100% 表4 市内 上川管内 その他 合計 98 20 21 139 70.5% 14.4% 15.1% 100% 表5 寝たきり 車椅子 室内 自立 合計 26 60 40 13 139 18.7% 43.2% 28.8% 9.4% 100% 表6 なし 認知症 意識障害 知的障害 合計 97 35 5 2 139 69.8% 25.2% 3.6% 1.4% 100% 表7 新規 区分変更 合計 70 17 87 80.5% 19.5% 100%

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© 2007 一般社団法人 日本農村医学会
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