スポーツ活動を通して,身体が学び知る「身体知」を熟達させるためには,訓練の動作によって生じる身体感覚を,強く意識することが重要となる.一方,ただ身体感覚に意識を向けるだけではなく,積極的に身体の動きや体感について,言語化する試行「メタ認知的言語化」が,身体知の熟達に関係するとの報告がされている.本研究では,立位と歩行の実践について,メタ認知的言語化を行った女子バスケットボール選手7名を対象に,臨床心理士による半構造化面接の調査を実施した.その結果,メタ認知的言語化が,学習者の記憶に残すことができるメリットがある一方,言語化の内容には多様性があり,また,実践結果から,言語化自体が身体知の熟達を妨げる場合もあることが明らかとなった.以上の結果から,メタ認知的言語化を探究するにあたり,教授者と学習者とのインタラクションの考慮が必要であることが示唆された.