日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-160
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シトクロムP450とUDP-グルクロン酸転移酵素のタンパク質間相互作用と機能変動: ドキシサイクリン誘導発現系の構築
*宮内 優石井 祐次武知 進士
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抄録

【背景・目的】 シトクロムP450 (P450, CYP) と UDP-グルクロン酸転移酵素 (UGT) は薬物代謝反応の第I相および第II相で中心的な役割を果たす薬物代謝酵素である。P450やUGTの肝臓における発現量は、芳香族炭化水素受容体や核内受容体のリガンドへの曝露により数倍から数十倍上昇することが知られており、このような発現量の変化が酵素機能に与える影響には不明な点が多く残されている。特に著者らはP450-UGT間の相互作用に着目した研究に従事しており、これまでにP450とUGTが小胞体膜上で複合体を形成し、互いの酵素機能を制御しあうことを報告しているが [1, 2]、発現量の変動がこのタンパク質間相互作用と機能に及ぼす影響は十分には明らかになっていない。これらの課題を検討するため、本研究ではドキシサイクリン誘導発現系に着目し、その構築を行った。

【方法】 ドキシサイクリンによる遺伝子発現制御が1つのプラスミドで可能なpTetOneベクターに、生体防御および毒性学の両方で重要なP450およびUGT分子種であるCYP3A4、 CYP2E1、UGT1A1、UGT2B7のORFをサブクローニングした。

【結果・考察】 サンガーシーケンス解析により目的産物の構築が確認された。現在、HEK293細胞を用いて、ドキシサイクリンによる誘導の確認および安定発現系の作製を行っている。今後は得られた安定発現系を用いて、P450およびUGTの発現量が、それぞれの酵素機能やP450-UGT間相互作用に与える影響の解析を行う。

[1] Ishii, Y., et al., Drug Metab. Rev., (2010).

[2] Miyauchi, Y., et al., Biol. Pharm. Bull., (2021).

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© 2022 日本毒性学会
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