日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: S9-3
会議情報

シンポジウム9
健康食品の製造管理及び品質管理(GMP)の現状と課題
*田口 貴章穐山 浩
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

 機能性成分を含む食品として、保健機能食品である特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品のほか、「いわゆる健康食品」が多種多様に製造、販売されている。これらの中でも特に、錠剤、カプセル状の製品においては特定の成分が濃縮されていることから、品質の悪い製品や健康被害を起こす可能性がある成分を含有する製品の摂取は健康被害に直結する。健康被害防止のためには製品の製造管理及び品質管理(GMP)や原材料の安全性確認が重要であり、2005年2月1日には厚生労働省通知“「錠剤、カプセル状等食品の適正な製造に係る基本的考え方について」及び「錠剤、カプセル状等食品の原材料の安全性に関する自主点検ガイドライン」について”が発出された。現在、健康食品等のGMP認証はこの通知に基づいて行われているが、事業規模によってはGMPに対応できない可能性もあり、この制度が十分に機能しているとは言い難い。

 上記食品のうちトクホは、国が審査を行い、食品ごとに許可される。審査には成分分析や安全性データ等が必須であるので審査に時間がかかる。これに対して2015年度4月から開始された機能性表示食品は、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品である。安全性及び機能性の根拠に関する情報等を消費者庁へ届出れば販売可能であるが、個別の許可を受けたものではなく、2018年から第三者による機能性関与成分の表示量の検証を可能とするために分析法の開示が原則義務付けられている。機能性表示食品の制度の開始以降、健康食品全体が劇的に多様化しており、注意を要する成分を含む食品も散見されるようになった。そのため、食品衛生法改正に伴い、厚生労働省では注意を要する成分を含む食品を指定成分等含有食品として製造管理及び品質管理を規制するようになった。このような健康食品のGMPの現状と課題について、本講演でより詳細に紹介する。

著者関連情報
© 2020 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top