日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: S15-1
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シンポジウム 15
RNAを標的とする核酸医薬品に特有の安全性評価の考え方
*真木 一茂
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抄録

 ヌクレオチドから構成される核酸医薬品は、現在治療法の確立していない疾患への適用などが期待され、遺伝性疾患(デュシェンヌ型筋ジストロフィー、遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシス等)を中心に開発が盛んに進められている。現在開発されている核酸医薬品には、構造、標的、作用機序等の違いにより、様々な種類(アンチセンス、siRNA、miRNA等)があるが、他のモダリティーにない特性として、標的とする塩基配列にハイブリダイズすることで薬理作用を引き起こすことから、安全性評価としては、過剰な薬理作用に起因するオンターゲット毒性のみならず、標的以外の塩基配列にハイブリダイズすることに起因するオフターゲット毒性を明らかにする必要がある。したがって、核酸医薬の安全性評価では、従来の化学合成医薬品やバイオテクノロジー応用医薬品を対象に構築された従来のガイドラインのみ対応することは困難であるため、海外ではDIAの Oligo Safety Working Groupにより非臨床安全性の主要な項目に関するWhite Paperが順次発表され、本邦でもAMED「S6:バイオ/核酸医薬品の安全性に関する研究」の研究班により「核酸医薬品の非臨床安全性評価に関するガイドライン(案)」が作成されている。

 一方、このように確立したガイドラインがない状況下でも、核酸医薬品の開発は急速に拡大していることから、PMDAでは、上記のガイドライン(案)等を参考にしつつも、バイオバイオテクノロジー応用医薬品に関するICH S6(R1)において「本ガイドラインに示される原則は、… (中略) … オリゴヌクレオチド製剤にも適用されうる」との記載を踏まえ、ICH S6(R1)の基本理念である「ケースバイケース」の原則を適用し、個々の核酸医薬品について安全性評価を実施してきた。本講演では、核酸医薬のうちRNAを標的とするもの(アンチセンス、siRNA、miRNA)に焦点をあて、それぞれの安全性評価における我々の基本的な考え方について紹介したい。

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