日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-25
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優秀研究発表 ポスター
光化学的および薬物動態学的特性の統合的解析による経口投与化合物の高効率的な光安全性評価
*猪山 陽輔加藤 尚視井上 僚佐藤 秀行世戸 孝樹尾上 誠良
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抄録

【目的】我々は化合物の光毒性リスク予測ツールとして光化学的評価および薬物動態評価の統合的解析による光安全性評価系を提案している.本研究では薬物動態評価に cassette-dosing 法を導入し,化学構造が類似および異なる経口投与化合物群における各化合物の光毒性リスク予測に対する本評価系の適用性を検証した.
【方法】Fluoroquinolones (FQs) 6 種,phenothiazines (PTZs) 8 種および母骨格が異なる化合物 6 種の 3 群を対象とし,UV 吸収スペクトル解析および reactive oxygen species (ROS) assay により化合物の光反応性を評価した.各群において全化合物を含む溶液を経口投与後 (各 5 mg/kg),各化合物の体内動態を精査した.本評価系を用いて予測した光毒性リスクについて臨床の光毒性情報あるいは in vivo 光毒性試験の結果と比較した.
【結果・考察】FQs および PTZs について全て高い光反応性を有しており,皮内動態と統合的に解析することで光毒性情報と良好に対応する光毒性リスク評価が可能であった.特に PTZs 8 化合物中で最も低い光反応性を示した perphenazine はその高い皮膚移行性を考慮することで中程度の光毒性リスクを有すると予測し,本予測は in vivo 光毒性と対応する結果を得た.母骨格が異なる化合物群について 5 化合物は高い光反応性を有し,興味深いことに波長 290-700 nm におけるモル吸光係数が 1,000 M-1・cm-1 以下である voriconazole は強い ROS 産生を示した.さらに皮内動態を組み合わせることで voriconazole は光毒性陰性化合物より高い光毒性リスクを有すると予測し,母骨格が異なる化合物群においても光反応性および皮内動態に基づく光毒性リスク予測は in vivo 光毒性と良い対応を示した.以上より,提案する光安全性評価系は多様な化学構造を有する化合物群に対しても優れた光毒性リスク予測が可能であり,本評価系が光安全性の高い創薬に貢献すると期待する.

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© 2017 日本毒性学会
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