日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-54
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一般演題 ポスター
4-vinyl-1-cyclohexane diepoxideのrasH2マウスを用いた超短期皮膚二段階発がん性試験
*勝呂 繭子河部 真弓沼野 琢旬秋山 真弓浦野 浩司堤 秀樹米良 幸典
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抄録

【目的】我々はrasH2マウスの皮膚を用いてより短期に発がん性の有無を評価できる「超短期皮膚二段階発がん性評価法」の開発を進め、評価法として確立した。このモデルでは、イニシエーターとして7,12-dimethylbenz[a]anthracene (DMBA: 12.5 μg/100 μL)を用い、発生メカニズムが異なる既知の2種の皮膚発がんプロモーターである12-O-tetradecanoylphorbol 13-acetate(TPA)又はbenzoyl peroxide (BPO)の投与により、8週間で皮膚発がんプロモーション作用の検出が可能である。しかし、過去の検討において、皮膚発がん物質である4-vinyl-1-cyclohexane diepoxide (4VCD)について評価したところ、皮膚発がん性の検出ができなかったことから、今回は用量及び投与頻度を変えて再検討を実施した。
【方法】雌のrasH2マウス (7週齢、各群10匹)の背部にDMBA (12.5 μg/100 μL)を1回経皮投与し、その1週後より4VCD(10, 15, 20 mg/mouse)又は媒体のアセトンを週7回経皮投与した。皮膚腫瘤の外表観察を週1回行い、実験8週で剖検した。
【結果】4VCD投与群では、20 mg群で実験5週時に、15及び10 mg群で実験6週時に皮膚腫瘤の発生が認められ、実験終了時の腫瘤発生率はそれぞれ80%、50%、及び50%であった。腫瘤の平均発生個数はそれぞれ1.8個、0.9個及び0.6個であり、用量との関連が認められた。一方、媒体投与群では腫瘤の発生は認められなかった。
【まとめ】rasH2マウスの皮膚に12.5 μg/100 μL用量のDMBAでイニシエーション後、皮膚発がん物質である4VCDの投与により皮膚腫瘤の発生が認められ、その発生個数には用量との関連が認められた。以上の結果、超短期皮膚二段階発がん性評価法は、皮膚発がん物質あるいは皮膚発がんプロモーターの検出が8週間で可能であり、経皮剤開発におけるスクリーニング評価法として有用なモデルであると考えられた。

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© 2016 日本毒性学会
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