日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-75
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一般演題 ポスター
ラットにおける2-エトキシ-2-メチルプロパンの肝臓発腫瘍性機序の解明
*梯 アンナ萩原 昭裕今井 則夫魏 民福島 昭治鰐渕 英機
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抄録

本研究では、ラットにおける2-エトキシ-2-メチルプロパン(ETBE)の肝発腫瘍性機序(MOA)の解明を目指した。6週齢F344雄性ラットを用いて実験開始時より0, 300 及び2000mg/kg/day ETBE(i.g.)または 500ppm phenobarbital(PB)を投与し、ETBEとPB投与の肝臓を病理学的、生化学的ならびに分子生物学的に検索した。ETBE高用量及びPB投与の7日目及び14日目に、肝臓においてミクロゾーム分画のOH°が、P450 total content及び核の8-hydroxydeoxyguanosine (8-OHdG)形成レベルの上昇と細胞質におけるCYP2B1/2,3A1/2,2C6 mRNAと蛋白質の蓄積をともないながら、有意に上昇した。CYP2E1及びCYP1A1の誘導がETBE高用量投与群のみにみられた。高用量ETBE及び PB投与14日後ではアポトーシス指数の顕著な上昇が認められた。高用量ETBE投与 14日後では肝細胞においてペルオキシソームの増殖がみられた。また、ラットの肝臓において、ETBE高用量投与群で認められた蛋白質の過剰発現は主にCAR, PXR(PB投与群でより高度)及びPPARs(PB投与群では認めず)の活性化により誘導されていた。さらに、ETBE高用量投与3日目及び28日目に細胞増殖の有意な上昇が見られた。これらの結果は、ラットにおけるETBE肝発腫瘍性のMOAが、酸化的ストレス及び8-OHdG形成の誘導、それに続く、14日後での再生性細胞増殖を示唆する細胞周期停止及びアポトーシスと関連しており、主にCAR及びPXRの活性化によるものでありPBのMOAに類似していた。さらに、PPARsの活性化も関与していると考えられた。

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© 2015 日本毒性学会
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