日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-79
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一般演題 ポスター
合成カンナビノイドによる薬物代謝酵素シトクロムP450 1A阻害作用
*芦野 隆伊藤 有香伯川 加菜絵沼澤 聡
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抄録

【目的】近年、脱法ドラッグなどと称した違法薬物の乱用が社会問題となっている。流通している違法薬物の多くには、大麻の有効成分であるテトラヒドロカンナビノールに類似した幻覚作用を示す合成カンナビノイドが含有されており、現在、合成カンナビノイドに多くみられるナフトイルインドール骨格を持つ化合物が包括的に規制されている。これらの化合物は、化学構造から中枢神経系への影響を推定し規制しているものの、その詳細な生体影響については明らかとされていない。本研究では、大麻に含有される主要カンナビノイドが薬物代謝酵素シトクロムP450 1A(Cyp1a)活性を阻害するとの報告があることから、基本骨格ナフトイルインドールおよび合成カンナビノイドによるCyp1a阻害作用について検討した。
【方法】薬物は、(1H-indol-3-yl)(naphthalene-1-yl)methanoneおよび市買調査で入手した合成カンナビノイドJWH-019、MAM-2201、UR-144、AB-001、AM-1248、STS-135を用いた。Cyp1a活性は、ddY系雄性マウス肝から調製したミクロソーム画分を酵素源として、Methoxyresorufin O-demethylationを指標とした。
【結果および考察】合成カンナビノイドの基本骨格である(1H-indol-3-yl)(naphthalene-1-yl)methanoneは、競合的にCyp1a活性を強く阻害し、その阻害定数Kiは0.74 µMであった。そこで次に各合成カンナビノイド(10 µM)によるCyp1a活性への影響を調べた。Naphthoylindole誘導体JWH-019およびMAM-2201は、Cyp1a活性をそれぞれ73.3%、64.4%に低下させ、アルキル側鎖が短くなるにつれて阻害作用が強まる傾向がみられた。また、Adamantyl誘導体AB-001、AM-1248、STS-135は、それぞれ92.3%、106.5%、67.6%とアミド結合を持つSTS-135にのみ阻害効果が認められ、Tetramethylcyclopropyl誘導体UR-144は79.5%に低下させた。以上の結果より、合成カンナビノイドの構造からCyp1a活性阻害作用が推測できることが示唆された。

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© 2014 日本毒性学会
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