日本トキシコロジー学会学術年会
第37回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P209
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ローズヒップエキスの単回および28日間反復投与毒性試験
*今戸 奈保子旭 聡夫長友 暁史小崎 敏雄西田 典永
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キーワード: ローズヒップ, 毒性試験
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抄録

【目的】ローズヒップはバラ科バラ属の果実であり,ビタミンC,カロチノイド,フラボノイド,ペクチンなどを含む。食品としてはお茶, ジャム,スープなどに利用されてきた。また,ドイツ,スイス,イギリス等では,Rosa属植物(主としてR. canina L.及び R. pendulina L.) の果皮または偽果が薬局方(DAB,Ph. Helv.,BP)に収載されており,いずれもビタミンC含量を規定している(0.3%以上)。さらに 民間療法において,果皮は緩下,利尿を目的に,偽果(種子を含む)は利尿,通風,リウマチ,座骨神経痛などに用いられ薬用としても 重要である。今回,含水エタノール抽出で得られたローズヒップエキスについて毒性学的な影響を検討した。【方法】単回投与試験:ロー ズヒップエキスの2000,5000mg/kgを5週齢のddY系マウス(雌雄各5匹/群)に単回経口投与し,その後2週間観察した。反復投与試験: ローズヒップエキスの500,1500,3000mg/kgを6週齢のSD系ラット(雌雄各10匹/群)に1日1回28日間連日経口投与し,最終投与翌 日に剖検した。【結果】単回投与試験では死亡はみられず,観察期間中の体重および摂餌量に異常は認められなかった。反復投与試験で は,試験期間中の死亡は認められず,一般状態の観察,体重および摂餌量,尿検査に異常は認められなかった。最終投与翌日に剖検し, 臓器重量の測定,血液検査,血液生化学検査および病理組織学検査を行った結果,最高投与量群の雌に肝臓および心臓の重量増加がみ られたが,その他にはローズヒップエキスに起因すると考えられる変化は認められなかった。【結論】ローズヒップエキスのLD50値は雌 雄とも5000mg/kg以上であり,反復投与試験での無毒性量は雄が3000mg/kg,雌が1500mg/kgであると考えられた。

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© 2010 日本毒性学会
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