日本地理学会発表要旨集
2019年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P005
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発表要旨
干渉SARと古地理でみる札幌市の地震被害 -2018年北海道胆振東部地震-
*横田 彰宏重野 聖之西村 智博本田 謙一向山 栄
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抄録

平成30 年(2018 年)北海道胆振東部地震では,札幌市清田区をはじめ広範囲で地盤変位が発生し,多くの建物被害が発生した.筆者らは,Sentinel-1衛星により取得された地震前後のSARデータを解析して推定された変位について,空中写真判読および現地踏査から,地盤変位による被害状況や旧地形について検討を行い,干渉SAR解析の妥当性について検証した.
 SAR解析の結果,札幌市清田区清田・里塚・美しが丘のほか,豊平区平岸,東区伏古などでも顕著な変位が観測され,大きな地震被害が推定された.これらの地区について,米軍写真等の判読により旧地形を検討し,現地踏査により状況を確認した.東区伏古地区では,豊平川の旧河道に沿って集中的に最大5 cm程度の地盤沈下が生じていた.これらの地盤変位により,建物に亀裂や,躯体が抜け上がるなどの被害が生じていた.また,清田区,豊平区の各地区においても,SAR解析により大きな変位が推定された箇所では,地表部の変位が確認された.地盤変位は,旧河道や旧谷地形を人工的に埋め立てた改変地に集中し,旧地形との相関が強いと考えられる.
 現地調査から,2018年北海道胆振東部地震後の地盤変位に伴う被害について,Sentinel-1衛星によるSARデータを利用することにより,極めて短時間に広域の概略被害状況を把握することが確認できた.

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