現在,日本における全人工膝関節置換樹(TKA)の施術数は7万件程である.高齢化社会において,TKAの施術数の増加は安易に予想されることで重要なものとなってきている.また,症例数の増加に伴い,人工関節のデザイン,素材,手術手順などは変化し続けている.TKAにおける人工関節設置の際,内外バランス(軟部組織バランス)の調整は重要なもので,適切な調整が行われなければ,膝の不安定性・ポリエチレン部の磨耗・膝関節の亜脱臼などの要因となる.しかしながら,人工関節を設置する際に必要な情報を提供する装置及び,定量的な技法はなく医師の経験に委ねられている.術者に依存するため,熟練者,非熟練者による術後差異なども発生する.そこで我々は,ポリエチレンインサートに着目を行い,感圧導電性ゴムを用いた圧力センサ及び,計測機器の開発を行った.実験においては,人工膝関節のPS型を用いた深屈曲位における応力バランス計測を行った.本研究により,手術の定量化を目指し,人工関節の取り付け不具合の発生リスクの低減に貢献されることが期待される.