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古細菌は、環境適応のために生育条件によって膜脂質構造を変化させることが報告されている。好塩性古細菌についても生育条件による膜脂質構造の変化が報告されているが、好塩性古細菌に特有なC20-C25ジエーテルの役割について詳細は分かっていない。本研究では、好塩性古細菌Natrialba aegyptiacaの生育条件(pH,塩濃度,温度)を変えて培養し、ジエーテル脂質の量比(C20-C20ジエーテルとC20-C25ジエーテル)にどのような変化があるのか調べることを目的としている。高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果、生育条件によって、ジエーテル脂質の量比が変化するという結果が得られた。このことから、好塩性古細菌はジエーテル脂質の量比を変化させることで環境に適応している可能性がある。