主催: 日本地球化学会年会要旨集
水月湖の年縞堆積物に対しては、年縞の計数と800点以上の放射性炭素年代測定により、世界でも最高精度の年代軸が与えられている。そうして作られた水月湖の年代目盛りは、IntCal(国際的に共有される放射性炭素較正モデル)の主要構成要素として、2013年からは全世界の研究者に使用されるようになった。次のステップとしては、この年代目盛りを用いた過去の気候変動の復元、さらに水月湖で復元された変動パターンの、ほかの地域との対比および比較が待ち望まれる。本公演では、水月湖の堆積物の花粉分析によって復元された気候変動の概要と、とくに北大西洋周辺地域と比較した場合の特殊性について概説する。その上で、完新世開始時の温暖化は、ベーリング期開始時の温暖化とはメカニズムが異なることを主張する。