国会議員と地方議員はお互いの選挙での当選確率を高めるために「系列」といわれる協力関係を結んでいる。この「系列」が維持されているようであれば,1993年に始まった国政レヴェルにおける「政界再編」は地方政治にも影響を及ぼしたはずであるが,実際にはその影響は限定的であった。国政レヴェルでは多数の自民党議員が離党して新党を結成したが,「系列」に従って新党会派の結成を見た都道府県議会は少数だった。他方で,保守系会派から自民党会派に戻る議員も多数見られた。他方,「政界再編」が社民党の地方組織に及ぼした影響もまた,限定的だったといえる。社民党は国政レヴェルでひどく衰退し民主党も結成されたものの,2003年の時点でも相当の都道府県議会において社民党会派が存続していたのである。すなわち,自民党が約6割の議席率を誇る地方議会において,民主党が地方に基盤を築けていないことが確認された。以上を要するに,新党が地方において根付いていないことが明らかになった。