主催: 公益社団法人日本セラミックス協会
我々はこれまでに,金属チタン表面に凹凸加工と熱処理を施すことで,体液環境下で自発的にアパタイトが形成することを明らかにした。本研究では,人工関節の素材への適用を念頭に,Ti-6Al-4VおよびTi-15Zr-4Ta-4Nb合金に対してこの技術が適用可能かどうか検討した。金属チタンと同様に,加工のみではこれらの合金にアパタイト形成能は発現しなかった。しかし,熱処理(500~600°C, 1h)の併用によりTi-15Zr-4Ta-4Nb合金にアパタイト形成能が発現した。一方,Ti-6Al-4Vにおいては,今回検討したいずれの溝幅,溝深さ,熱処理温度においても,アパタイトは形成しなかった。熱処理の際に内部から表面に拡散したAlが酸化層中に存在し,これがアパタイト形成の抑制因子として働いたと考えられる。