主催: 公益社団法人日本セラミックス協会
ポリエチレン(PE)基板に酸素モノマーイオンおよび酸素クラスターイオン(O2 mcイオン)を混合照射した。加速電圧は6 kV、ドーズ量は1x1015 ions/cm2とし、未照射およびO2 mcイオンビームを混合照射した基板を1.5SBFに7日間浸漬した。O2 mcイオンビームを混合照射した基板はアパタイトを形成したが、未照射基板は形成しなかった。これは、O2 mcイオンビーム混合照射により、PE表面にCOOH基等のアパタイト形成に有効な官能基が形成されたためと考えられる。さらに、O2 mcイオンビーム混合照射基板のアパタイト形成能は、同イオンビーム混合照射後の塩化カルシウム処理により促進された。これは、塩化カルシウム処理によって基板表面に担持されたカルシウムイオンがアパタイトの核形成を促進したためと思われる。以上より、O2 mcイオンビーム混合照射は、PEなどの高分子材料にアパタイト形成能を付与する手段として有用であると考えられる。