日本生態学会大会講演要旨集
第52回日本生態学会大会 大阪大会
セッションID: C102
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カブリダニは「SOS信号」とは異なる手掛りでハダニを探す
*矢野 修一刑部 正博
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抄録

これまでは、カブリダニは加害された植物の出す匂いを手掛りにしてハダニを探すと考えられてきた。しかし、カブリダニが加害葉の匂いを感知できるハダニの密度が葉当たり数十匹以上(雌成虫)とされるのに対し、野外でのハダニのコロニーサイズは葉当たり1匹ないし5匹以下の場合がほとんどだった。それにも関わらず、野外のハダニを餌としてカブリダニが存続している事実は、他の探索手掛りがあることを示唆する。そこで、カブリダニ(チリ/ケナガ/ミヤコカブリダニ)がハダニ(ナミ/カンザワハダニ)の歩行跡をたどれるかどうか、という代替仮説を検証したところ、いずれの組み合わせにおいてもこの仮説が支持された。特にケナガカブリダニは、わずか1匹のナミハダニの歩行跡をたどれることが確認された。以上の結果は、カブリダニの餌探索に関する定説を覆すものと考える。

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© 2005 日本生態学会
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