日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

共生体に起源をもつ葉緑体タンパク質の比較ゲノム科学に基づく大量同定
*佐藤 直樹石川 正行斉藤 剛志福元 亮弘
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 039

詳細
抄録

シアノバクテリア祖先種の細胞内共生による葉緑体の起源が,ほぼ間違いのない仮説として信じられている。この細胞内共生に伴い,タンパク質をコードする遺伝子が,共生体から大量に始源真核光合成細胞に導入されたと考えられる。そこで,様々な生物のゲノムにコードされたタンパク質遺伝子の比較に基づき,共生体起源と考えられる植物遺伝子をまとめて選び出し,実験的に証明していくことを目的として,本研究を開始した。タンパク質配列の類似性に基づいてクラスタリングを行うソフトウェアGclustを開発し,8種のシアノバクテリア,3種の光合成細菌,2種の非光合成細菌,2種の真核非光合成生物,およびシロイヌナズナと原始紅藻,計17種の生物が持つ全推定タンパク質約11万個のクラスタリングを行った。植物・藻類と8種のシアノバクテリアすべてに共通するクラスタを選び出した。これらのクラスタに含まれる遺伝子のうちで,機能未知のものの機能解析を行うため,44個のSynechocystis遺伝子の高速遺伝子破壊と,57個のシロイヌナズナ遺伝子のタグライン解析,葉緑体ターゲティングの解析,発現解析などを進め,これらの知見を総合して,新規光合成関連遺伝子の大量同定を目指している。

著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top