日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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フィールドにおけるサクラの生理学的研究と諸動物との相互作用
-樹木形態形成に及ぼす植物ホルモンおよび地球重力の影響-
*中村 輝子
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p. S24

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抄録

高尾山麓の森林総合研究所多摩森林科学園のサクラのジーンバンク(桜保存林)および新たに開かれた農場を利用してシダレザクラのしだれ性のメカニズムに関する植物生理学的研究をおこなってきた。それまでの制御された実験室環境における幼植物を用いた実験とは異なり、フィールドの実験は、予期せぬ様々な困難を伴う一方、自然環境の中で樹木サクラを育てることにより、そのライフサイクルの進行に伴う動物すなわち、哺乳類、鳥類、および昆虫との様々な関係があり、またこれに関わるアレロパシー物質(クマリンなど)の関与もあることを学ぶことができた。この体験に基づいて「フィールドで植物生理学の実験をおこなうこと」および「フィールドにおけるサクラとそれをとりまく生物間の相互作用」につき論じたい。
 フィールドにおけるしだれ性に係わるジベレリン等の植物ホルモンの研究は、さらにサクラの重力生物学の研究へと発展し、近年は、三次元クライノスタットを用いたサクラの形態形成とその重力センサーの研究がおこなわるようになった。ここでえられた宇宙環境の植物におよぼす影響をも合わせて論じたい。

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© 2003 日本植物生理学会
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