日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナにおける糖リン酸の網羅的分析法の開発
*関口 陽子三橋 尚登三村 徹郎
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p. 28

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抄録

植物におけるリン酸代謝の全体像を明らかにするために,リン酸化合物の網羅的解析手法の確立を目指している。今回は,多成分の一斉分析法として有効であるイオンクロマトグラフィーを用いた糖リン酸の分析法の開発をおこなった。イオン交換分離-パルスドアンペロメトリー(酸化還元能の)検出(HPAE-PAD)法で糖リン酸を測定する方法はすでに報告されているが,高等植物に適用した例はほとんどない。そこで,シロイヌナズナに本法を適用し、含有糖リン酸の網羅的分析法を検討した。
クロマトグラフィーに適用するためには,糖リン酸の代謝状態を変化させないよう,試料採取直後に酵素を不活性化する必要がある。そこで,塩酸抽出,TCA抽出,マイクロウェーブ,限外ろ過,熱処理などの方法を試みた。塩酸やTCAによる抽出は,イオン交換カラムにおける交換容量超過を引き起こし定量的な測定が困難であった。限外ろ過および熱処理では,処理前に試料をホモジナイズする必要があり,その間に代謝状態が変わることがわかった。マイクロウェーブを適用した場合は,試料の含有水分量に対する処理時間などの微妙な調節が困難であった。そこで,試料を凍結乾燥して酵素活性を停止した状態で熱処理することによって問題を解決し,本法に適した条件を決めた。この手法を用いて培地のリン酸濃度を変えて生育させたシロイヌナズナの分析をおこなった。

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© 2003 日本植物生理学会
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