中国北東部の長白山火山のソースマントル含水量を推定するため、同火山のスコリア試料を対象に物質科学的な解析を行った。スコリアに含まれる斜長石斑晶中の急冷ガラス包有物の組成をEPMAで測定し、含水量は100 wt.%と分析トータルとの差であるとして推定した。その結果、ガラス包有物の含水量として0.15-3.5 wt.%が得られた。包有物の最大のH2O/K2O比である0.9を脱ガスなどの影響を被っていないメルトのH2O/K2O比を表すとすると、ソースマントルの含水量は約350 ppmと推定される。この含水量は通常の上部マントルの含水量(∼120 ppm; Salters and Stracke, 2004)よりも有意に高く、顕著に水に富んでいることが示唆される。