2016 年 29 巻 2 号 p. 169-174
当科では, 下咽頭癌に対して喉頭機能温存を期待してシスプラチン 40mg/m2 週一回投与の放射線化学療法 (CRT) を行っており, 遠隔転移ハイリスク症例には3剤併用 (タキソテール 75mg/m2 × day1, シスプラチン 75mg/m2 × day1, 5-FU 750mg/m2 × day1-5) の導入化学療法を先行している. CRT を行った下咽頭癌40例について検討したが, うち10例は導入化学療法を先行した. 全体の87.5%, 導入化学療法を行った10例のうち90%においてシスプラチン5コース以上の CRT を行うことができた. 全体および導入化学療法を行った10例の喉頭温存生存率は66% (5年), 58.3% (3年) であった. 本レジメンは下咽頭癌の喉頭温存治療として有用であり, 高い完遂率から導入化学療法と組み合わせて行う治療として妥当と考えられた.