表面科学
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Cu(100)表面上のFe薄膜
江川 千佳司
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1991 年 12 巻 10 号 p. 610-614

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抄録

 Cu(100) 表面にエピタキシャルに成長してできるfcc構造のFe薄膜について, 水素の昇温脱離法と低速電子回折を用いた研究をもとにして, これまでの研究をまとめて検討した結果, fcc構造のFe薄膜の性質が薄膜の厚みや基板の温度など成長条件に大きく依存することが明らかになった。まず, X線光電子の前方散乱やRHEEDの反射ビーム強度の膜厚に対する振動的変化の観察による結果と一致して, 薄膜は3層以下では層状に成長しないこと, 3~4層になると(4×1)構造, また8層ではp(2×2)p4gの超格子構造を示す規則的な表面となることがわかった。つぎに, このfcc構造の規則的な表面における水素の吸着エネルギーは, bcc構造の単結晶表面での吸着状態より30kJ/molほど小さな70kJ/molに減少することが求められた。また, fcc構造のFe薄膜の表面磁気異方性も薄膜の厚みや基板の温度など成長条件に依存して変化することが明らかとなった。

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© 社団法人 日本表面科学会
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