日本応用動物昆虫学会誌
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高田地方におけるイネカラバエ夏世代幼虫の生育生態
I. 被害発現および幼虫生存率の概要
岩田 俊一
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1958 年 2 巻 4 号 p. 258-263

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抄録

イネカラバエに対する抵抗性並びに出穂期の異なる10品種を供試し,第1化期および第2化期における被害の発現と幼虫の生存率をしらべたところ次のような知見が得られた。
1) 出現した傷葉は第1化期と第2化期では非常に異なり,第1化期では3∼4枚の食葉で蛹化できるのに第2化期では3∼4枚の葉を食っても幼穂を食わなければ蛹化できない。
2) 産卵茎のうち被害の出る茎の割合は抵抗性の強弱には関係せず,第1化期においては平均87%,第2化期においては平均35%で,前者のほうが2倍以上の値を示した。
3) 第1化期においては品種間における幼虫生存率の差は若令幼虫期に決定され,幼虫末期における死亡率は各品種一様に作用する要因に支配されるところ大である。
4) 第2化期においても抵抗性の強い品種では若令死亡が多いが,傷葉を作った幼虫の死亡率即ち傷穂茎内に蛹の存在しない割合は早生品種では高く中∼晩生品種では低い。
5) 第2化期においては出稲期の早い品種では傷穂が出やすい傾向があり,晩生品種では食葉中の死亡率が第1化期より高いので,傷穂の出現は少なくなる。
6) 以上の事柄が総合された結果,産卵茎に対する幼虫生存率は第2化期では第1化期より全般的に低い。

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