日本応用動物昆虫学会誌
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人工飼料によるニカメイチュウの累代飼育に関する研究 (1)
コリンが成虫の産卵,卵のふ化などに及ぼす影響
釜野 静也
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1961 年 5 巻 4 号 p. 254-259

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抄録

人工飼料を供しニカメイチュウの5世代にわたる無菌的累代飼育に成功したが,それらの結果を要約すると以下のようになった。
1. 今までに使用していた人工飼料に10倍量のコリンクロライドを加えることにより,産下卵塊数,卵塊ふ化率を増加させることができた。
2. 5世代にわたって飼育した飼料は,飼料B,Cの組成のものである。
3. 2種類の飼料のどちらで飼ったものでも,幼虫の体重,蛹化率,産卵力は野外のものと変わらず,またその世代間にもほとんど差はなかった。
4. 一方,雌の羽化率,卵塊ふ化率では野外のものよりもまだ劣っていた。
5. 野外の雄と交配させることによりふ化卵塊率が高まったが,しかし,次世代になるとその影響は現われなかった。
6. 不休眠条件下で,このような人工飼料によって飼育を続けるならば,年間に庄内型では10世代を,西国型においても6世代を飼育することが可能である。

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