日本応用動物昆虫学会誌
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大阪の里山と都市緑地におけるマイマイガの寄生性天敵相
南 智子石井 実天満 和久
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1999 年 43 巻 4 号 p. 169-174

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抄録

里山と都市緑地におけるマイマイガLymantria dispar L.の寄生性天敵相の違いを知るために,大阪府能勢町の三草山と堺市の大阪府立大学構内(府大構内)を調査地として,1997年5∼7月にマイマイガ幼虫を採集し,個別飼育を行うことにより,脱出する寄生者を記録した.
三草山ではマイマイガ幼虫の21%から,府大構内では31%から,それぞれ捕食寄生者が脱出した.ハチ目では,両調査地でHyposoter sp.(ヒメバチ科)が,それらに加えて三草山からはブランコサムライコマユバチ(コマユバチ科),ブランコクロカモドキバチとProtapanteles sp.(コマユバチ科)およびヒメバチ科の1種が,府大構内からはギンケハラボソコマユバチ(コマユバチ科),Cotesia melanoscela(コマユバチ科)が,それぞれ確認された.ハエ目では,府大構内でブランコヤドリバエとムラタヒゲナガハリバエ(ヤドリバエ科)が確認された.両調査地における優占種は,府大構内でブランコヤドリバエで全寄生者の約7割を占めたのに対して,三草山ではブランコクロカモドキバチであったが全寄生者の約2割にすぎなかった.各捕食寄生者による寄主の死亡個体数より算出した種多様度(1-λ)は,府大構内(0.55)より三草山(0.80)の方が高かった.

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