2007 年 64 巻 11 号 p. 751-757
ポリ-L-乳酸(PLLA)とポリブチレンサクシネート系ブレンド体から,酸化マグネシウム(MgO)触媒を用いて PLLA 成分の優先的解重合による L,L-ラクチドへの選択的還元を達成した.硬くもろい材料である PLLA は,柔軟性と耐衝撃性を賦与するためにポリブチレンサクシネート(PBS)あるいはポリブチレンサクシネート/アジペート(PBSA)とブレンドされて用いられている.PLLA の解重合による L,L-ラクチドへの還元反応における PBS および PBSA の影響を検討した結果,PLLA と PBS は弱い相互作用が存在するものの,MgO 触媒を用いることによって,PLLA は優先的に分解され,L,L-ラクチドが選択的に生成することが明らかとなった.しかし,PBSA の共存下では,分解しやすいアジペートの作用によって,顕著な meso-ラクチドの生成が認められた.