高分子論文集
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ベンゾスピロピラン含有人工膜の光誘起膜電位
安斉 順一長谷部 靖上野 昭彦長 哲郎
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1986 年 43 巻 10 号 p. 683-689

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抄録

スビロビラン誘導体を可塑化ポリ塩化ビニル膜に固定化して, 膜電位の光応答性を検討した. 膜に紫外光を照射すると100mV以上の大きい膜電位変化が1分程度の応答時間で誘起された. この光応答性は, これまでに報告されているスピロピラン固定化膜の光応答性と比較して著しく改良された. 光誘起膜電位の大きさは, 概して電解質濃度が低い場合に増大する傾向がみられた. また膜の両側の水溶液間に電解質の濃度差の存在しないときにも光誘起膜電位が発生し, 紫外光照射下における非対称膜の生成として説明された. 更に, 光応答性が溶液のpHに依存することが示され, 酸性領域で光誘起膜電位は増大した. このことから, 膜電位変化には開環型スピロピランにH+イオンが付加した化学種が. +1価のイオンとして重要な役割を果たしていることが推定された.

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