高分子論文集
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総合論文
デンドリティック糖質界面が示す生体機能
福田 知博三浦 佳子
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2017 年 74 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

細胞表面糖鎖は,タンパク質や細胞との間に特異的な分子認識能を有しており,集合化することでその機能を高めている.この多価集合化による機能亢進は糖クラスター効果と呼ばれており,生体外でも糖の表面集積や高分子化によって機能模倣が行われ,材料へと展開されている.なかでもデンドリティック糖質は,多価分子ながら分子量が均一で構造が明確であることから,糖クラスター効果の制御が必要な分野,用途への利用が期待された.筆者らはこれまでにデンドリティック糖質の糖クラスター効果制御機能を糖質–タンパク質間の分子認識機能の精密解析へと展開する研究に従事してきた.本報では,デンドリティックな糖質薄膜を材料とした既知の糖質–レクチン間相互作用の動力学的な解明に関する研究と,この薄膜系を結合構造様式が未知の硫酸化糖質–アルツハイマーアミロイドβ間相互作用へと応用した研究に関する結果について概説する.

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© 2017 公益社団法人 高分子学会
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