高分子化學
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1, 3-シクロヘプタジエンの共重合
山口 格長井 勝利板橋 修
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1973 年 30 巻 340 号 p. 464-470

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抄録

1, 3-シクロヘプタジエン (1, 3-CHpD) の二酸化イオウ (SO2), 無水マレイン酸 (MAn), およびビニルモノマー類との共重合について検討した。
SO2およびMAnとの反応においては無触媒でDiels-Alder付加物と交互共重合体が生成し, SO2との反応の場合には前者が多く生成した。また反応温度の上昇により両反応とも共通して付加反応速度が増大し, 共重合速度は低下した。SO2との共重合の場合には約50℃に天井温度が存在した。MAnとの反応では付加反応も共重合反応も1: 1の仕込組成で最大収率を示し, 溶媒による希釈効果は後者のほうが顕著であった。またLewis酸を添加すると付加反応が促進され, 共重合反応が抑制された。
これらの結果から付加反応および共重合反応はともに両成分間で形成する1: 1錯体を経由し, 両反応の差異は中間体としての錯体種の違いによるものと推定される。
アニオン, ラジカル単独重合性およびスチレン (St), メタクリル酸メチル (MMA) とのラジカル共重合性はほとんど見られなかったが, アクリロニトリル (AN) とはラジカル開始剤により交互共重合体に近い組成のコポリマーを生成し, またカチオン開始剤によっても単独重合し, この場合約50%近いオレフィンプロトンの損失が見られた。

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