高分子論文集
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ポリマーマイクロドーム中のシアニン色素J会合体の階層構造
加賀 和明岡本 潔越前 考弘カートハウス オラフ中嶋 健
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2003 年 60 巻 12 号 p. 752-761

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抄録

自己組織化によりポリスチレンドーム中に取り込まれたシアニン色素の集合状態のコントロールと, 色素濃度とドームサイズを変えたときの集合状態の変化の光学的特性に与える影響を検討した. 固定されたマイカ基板とモーターに接続されたガラスローラーとの間のスペースに希薄なポリマー/色素溶液を滴下することによってサンプルを得た. 溶液の滴下後, 一定の速度でガラスローラーを回転させ, ディウェッティング過程をコントロールすることによって, 二次元配列したポリマードームが得られ, 色素は選択的集合体としてそのなかに取り込まれることを明らかにした. ディウェッティング過程は, 1~100μmの直径と20nmから数μmの高さをもった小さなポリマードームを形成する. 蛍光顕微鏡観察からある色素濃度以上においてポリマードームの縁に色素集合体が形成されることがわかった. 色素分子はナノメートルサイズの集合体を形成し, その集合体がマイクロメートルサイズのポリマードームの縁に局在する. またそのポリマードームは, 基板全体に二次元的に配列することがわかった. サンプル内部には, 分子レベルからメゾスケールレベルまでの階層構造が自己組織的に形成される. さらに蛍光スペクトルのピーク波長は, 色素濃度とポリマードームのサイズに依存することも明らかになった. すなわち色素濃度が高いほど, またポリマードームが大きいほど, ピーク波長は長波長側にシフトする.

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