高分子論文集
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多角度光散乱-サイズ排除クロマトグラフィーを用いる無秩序分岐ポリスチレンのキャラクタリゼーション
川口 正剛Djoko Poernomo SOEWITO伊藤 浩一
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1997 年 54 巻 12 号 p. 923-929

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抄録

多角度光散乱-サイズ排除クロマトグラフィー (MALLS-SEC) を用いて, テトラヒドロフラン (THF) 中, 25℃で種々の無秩序分岐ポリスチレン (PS) のキヤラクタリゼーションを行い, ラジカル重合における分岐高分子生成に関する基礎的な知見を得た. PS試料は, 無触媒熱開始で重合したもの, アゾ系あるいは過酸化物系開始剤を添加して重合したもの, さらにはジビニルベンゼンと共重合することによって合成したものである. 分子量分布の狭いPSスタンダードに対するMALLS-SEC測定は, この装置が信頼性の高いz-平均2乗回転半径 (<S2>z) と重量平均分子量 (Mw) を測定していることを示した. 無触媒熱重合で合成したPSの<S2>zは, 同一分子量のPSスタンダードの<S2>zとすべての分子量範囲にわたって一致しており, ほとんど分岐していないPSであると結論した. 一方, カーボネート系過酸化物開始剤を用いた系では, 高分子量側に分岐ポリスチレンが生成している可能性が示された. 無秩序分岐高分子鎖に対する収縮因子の値から, 非摂動無秩序分岐の理論で評価された分岐密度が決定された.

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