1992 年 49 巻 2 号 p. 105-111
サーモトロピック液晶コポリエステル (LCP) とポリカーボネート (PC) とのブレンド物の射出成形品について, 高次構造, 熱的, 力学的特性などを測定した. 射出成形品中では両成分ポリマーは相分離していた. ブレンド物中のLCP成分の相対的な結晶化度は, 単体に比べて低かった. またコア層に比べてスキン層の方が相対結晶化度は高く, LCPの分子配向はスキン層だけに生じていることがわかった. LCP成分の増加とともに曲げ弾性率は増加するが, ポリマーブレンドのマトリックス相がLCPであるかPCであるかによって, 弾性率の組成依存性が異なった. 力学異方性は, 主としてスキン層におけるLCPの結晶配向によって現れることがわかった.