1981 年 55 巻 8 号 p. 689-693
ミルクカゼイン,大豆濃縮タンパク質,大豆分離タンパク質およびカツオ節について,総セレン量を蛍光法によって分析し,ついでセレンの利用率および栄養有効性を,これらをタンパク質源とする飼料を用いたラットの栄養試験から検討した.
カツオ節(3.4μg Se/g protein)を除いてこれらのタンパク質源に含まれているセレンは0.34から0.60μg/g proteinの範囲であった.栄養試験の結果,肝GSH-Px活性と肝セレン蓄積量はいずれも飼料中のセレン含量に応じて変動することが明らかとなった.一方,摂取セレン量と糞中セレン排泄量,および“代謝性セレン”量より飼料中のセレンの有効性を算出してみると,カツオ節食では約50%であるのに対し,他の飼料では少なくとも75%以上であった.以上の結果は,タンパク質に含まれているセレンの有効性を判定するにあたって,タンパク質自体の消化性も重要な要因であることを示している.