育種学研究
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原著論文
国内オオムギ品種・系統の越冬性とフルクタン含量およびフルクタン代謝酵素遺伝子多型の関係
中田 克関 昌子青木 秀之長嶺 敬
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電子付録

2021 年 23 巻 1 号 p. 28-36

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抄録

国内の多様なオオムギ計105品種・系統を用いて越冬性とフルクタン含量およびフルクタン代謝酵素遺伝子多型の関係を調べた.越冬性および越冬前のフルクタン含量は寒冷地育成の品種・系統で高く,暖地・温暖地育成の品種・系統で低い傾向があった.5つのフルクタン代謝酵素遺伝子は塩基配列多型のパターンから,それぞれ6から10の遺伝子型に分類された.5つの遺伝子の遺伝子型の組み合わせが同じ品種・系統をグループ化し,越冬性およびフルクタン含量の平均値をグループ間で比較したところ,越冬前の茎葉のフルクタン含量が高いグループほど越冬性が優れており,特に茎部のフルクタン含量と越冬性の相関が高かった.最も耐雪性が優れるグループ群は特徴的な遺伝子型の6-SFT遺伝子を有しており,その遺伝子型は他のグループには見られなかった.また,1-FEHの遺伝子型により越冬性が高いグループ群,中程度のグループ群,低いグループ群に分けられ,供試した二条オオムギの1-FEH遺伝子は全て越冬性が低い遺伝子型であった.そこで,越冬性が最も高いグループの6-SFTの遺伝子型,1-FEHの各遺伝子型を識別するdCAPSマーカーを開発した.

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