日本衛生学雑誌
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毒キノコのマウスにおける生化学的作用別分類に関する研究
山浦 由郎
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1988 年 43 巻 2 号 p. 669-678

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抄録

過去に中毒事例のあった18種の毒キノコをその中毒症状により3つ(コレラ様症状型7種,神経系症状型7種,消化器系障害型4種)に大別し,それらの熱水抽出液について,その生化学的影響をマウスを用いて検討し,次の結果が得られた。
1.生化学的変動が顕著に発現する時間は,神経系症状型および消化器系障害型キノコで投与後3時間以内,コレラ様症状型キノコで12時間以後であった。
2.血糖の減少はコレラ様症状型の7種すべておよび神経系症状型のC. clavipes, C. atramentarius, P. venenataを除く4種(3時間値)で,増加は消化器系障害型の4種すべてで認められた。
3.BUNはコレラ様症状型のA. citrina, A. pseudoporphyriaを除く5種および神経系症状型のC. clavipes, C. atramentarius, P. venenataを除く4種で増加した。
4.GOTはコレラ様症状型の7種すべておよび消化器系障害型のN.fasciculareで活性増加した。
5.カリウムはコレラ様症状型および消化器系障害型のすべてで減少した。
6.尿タンパクはコレラ様症状型のA. citrina, A. pseudoporphyriaを除く5種および消化器系障害型のN.fasciculareで異常値が認められた。

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