ネコを用い,扁桃核単一ニューロン活動に対するcapsaicinの作用を検討したところ次の結果が得られた.1)扁桃核から侵害刺激(ツメ付き鉗子による皮膚へのpinch)に反応するニューロン,非侵害刺激(hair bending,tapping)に反応するニューロンおよびこれら体性感覚刺激に全く反応しないニューロンが得られた.2)これら記録したすべてのニューロンについてcapsaicin(3~5μg,i.a.)の作用を検討したところ,侵害刺激に反応するニューロンはcapsaicinにも反応したが,非侵害刺激のみに反応するニューロンおよび体性感覚刺激に全く反応しないニューロンは,capsaicinにも反応しなかった.3)capsaicinの反応潜時はbradykinin(3μg,i.a.)のそれより著しく短かく,作用持続時間の平均はcapsaicinの方が長かった,4)capsaicinによる反応はmorphine(1mg/kg,i.v.)により消失し,naloxone(0.2mg/kg,i.v.)で回復した.5)capsaicinの連続投与により反応が一時的に消失するタキフィラキシー現象が認められた.